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  • その106: 取組み対象課題・問題の定式化が重要性を持つということ


    前回は様々な自分メディア利用に当たっての注意点を考えました。今回は、業務利用におけるDX自動化の話題取組み検討の際に、改めて考えておく必要がある話題を取上げます。それは表題の通り「取組み対象課題・問題の定式化」の重要性です。

    技術面ではハードウェア、ソフトウェアの様々な仕組みが揃ってきて、しかもそれらを以前とは比べものにならない位の費用で利用できる時代になっている事は明らかです。しかし、それらを利用する上で単なる「人が行う作業を置き換える姿勢」で取組むというのは大変残念であり、しかも時間と費用の無駄使いに繋がってしまうことになりかねません。 幾らでも人を投入し費用を掛けることができる一部の大企業はさておき、その他の企業にとっては選択を誤ることは、死活問題に繋がるといっても言い過ぎではないといえます。しかも先に書いたように、技術的には十分、人余りの大企業もできない環境を構築することが容易にできるようになっていることが重要です。工夫次第で幾らでも時間を節約できる環境を利用しないことは、大変「もったいない」ことです。

    ただ、その技術を利用する上で 、 対象課題に闇雲に取組むという姿勢では効果半減以上であることも忘れることができません。つまり、対象課題をうまく定式化し、利用技術を効果的に利用する方向性を誤らないことが 「成功への 道」に繋がっているということです。一例を挙げると、「ソルバー」という仕組み・ツールを利用することは今や誰にでもできる環境にあります。しかし誰でも使える環境であっても、それをどう使えば課題に効果的に取り組めるかという知識がなければ「ソルバー」という言葉は、何の役にも立っていません。実はこのソルバーというのは「生産計画」「輸送問題」「「様々な資源(人・モノ・金)の配分最適化」「スケジューリング」といった様々な日常的課題の多くの解決策を「数値的に」導くことができる魔法の箱といえるものです。しかし、それを利用する上で、対象課題をどのように整理し定式化することができなければ利用もできないということです。

    少々技術的な話題から入りましたが、このように技術が既にあっても、その存在や利用方法に気付かないということは、案外多いという点が重要です。取組む課題の要点をうまく引き出し、定義し、利用技術に合うような形に定式化できれば、それをかなりの確率で解決に近づけることができるようになっていることに気付く必要があります(しかもそれほど多くの費用をかけずに、取り組める環境ができてきている)。この時代、その気づきに近づくことは、本当の経営者・リーダーの大きな責務であると言って間違いないでしょう。そのための勉強時間も少しは必要です。時間が足りなければ、そういったことに適した人材を登用し、日々相談するという方法もあるでしょう。 課題の定式化とそのための技術選択の部分は、信頼のおける専門家に任せることも一案です。信頼がおけるかどうかの目利き力も経営者の資質です。
  • ここまで読んで頂いた方々は多くはないと想像しますが、もしこの具体的な内容に興味を抱く方があれば「お問い合わせ」欄からご連絡下さい(全てのご縁のある 方々へ)。
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  • その105: さまざまな自分メデイアの光と影

    今回は少しいつもとは趣を変え、昨今の自分(オウンド)メディアの流行に関連した、筆者の思いを記します。ここでは所謂SNSという分類に属することの多い、facebook、twitter、Instagram、youtubeや最近では音声を扱えるClubhouseやradiotalkなどを想定しています。

    こういったメディアの光の部分は、ネットワーク環境の拡大とスマートフォン、タブレット、PCといった受発信の媒体が、その上で動作するアプリケーション増大と共にもたらした、一般の人たちが自分の日常的思いをやりとりすることが容易になったという点です。これにより様々な世代間のコミュニケーションが広がることを可能としています。共有できるテーマに関連して人々が集まりサークルを作りやすくなったとも言えます。文字は勿論、画像、動画、音声など多くのデータ形式を混ぜて取り扱えるというのも技術発展の要素です。恐らく、こういった多様なデータを発信者の属性情報付きで収集するための格好な入出力源になっていうことでしょう。背景には、そのような大規模の時系列情報をメタデータ付きで保管できる環境を備えた企業・団体があるということです。

    そのような自分メディアの利用者が増大するに連れ、その環境を自社CMの提供の場にしようというビジネス発想が紛れ込んできます。この方面からのアプローチが増えるに従い、利用するパーソナル・コミュニケーション或いは情報共有関係が乱れてきます。雑音の増大といったら分かり易いでしょうか。また、利用可能メディアが増えるに沿って、利用者の興味環境も移り変わり薄まってゆくともいえます。こういう移り変わりを生むことが利用面での影(陰)の第一点です。特に大きくなった自分メディアでの雑音の大きさは日々増大している実感があります。それを報酬を提供して増大させているというメディア提供側の思惑も絡んでいることがややこしさを生んでいる。

    次に、様々な利用者が混在し、開かれたメッセージ公開環境では他者の発信に対して意見を出すことが容易になった結果、背景を無視した批判や中傷の類いが増えてきているとも考えられます。割り込みをしやすくなったともいえるでしょう。これは文化の乱れや混乱を助長する要素になっている、と考えられると筆者は考えています。ある意味では、そのような乱れを嫌がるサークルのクローズ化という方向を生むといえるかもしれません。この辺りは、当該参加型メディア 利用者の動機とも関係しているでしょう。どのようにフィルタを懸けるかという選択要素になり得ます。そういったフィルタ技術を安心して使えるオプションを提供する自分メディアが受け入れられ易くなるということがいえそうです。

    更に、様々な形式のデータが属性や関連性情報を含めて大規模に収集・利用できる環境が整った結果、解析技術の向上と共に影の部分を生んできていると見ることができます。これを短くいうとAI技術と呼んでしまえるでしょう。表に出て喧伝される利用可能技術も多くあり、それは社会的に役立つものが少なくありません。今後の社会に取って必要な技術要素が膨大なデータ収集により進展していることは事実でしょう。一方で表立ってきてはいませんが、そういった大規模なインフラ技術を提供する側の、情報統制、一方的メッセージ発信、電子的情報焚書現象を生み、それを可能にする環境となってきているということができます。実際それが技術的に可能になっており、行われていることが目に見える形で現れています。これが最も大きな影の部分といえるかもしれません。利用する側の、大きな意識・文化的リテラシー力が要求されるといえるでしょう。 古くから、公にされている歴史は、事実の集合ではなくその時の為政者の考え方の集まりだと言われてきました。それが電子的環境の中で、容易に大規模に実現できるようになったといえます。
  • いつもながら、この欄に結論はありません。今後は益々、自分メディアを代表にする電子的環境との触れ合い方、情報の選別・探索方法を磨くことに時間の重点が置かれてゆくことになりそうだと日々考えているところです。
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  • その104:  データを共有できるようにし、再利用化を実現する方法

    コロナウィルス話題の収束道筋はまだ見えてきておらず、政治、マスコミといった機能は相変わらず本来の役割を果たしていると考えられない状況が続いています。こういった中で、本ページを訪れた方々は如何お過ごしでしょうか。それでも世の中は動き続けるという意味で、ここでは多様な視点からの意見、情報の提供などを続けて行こうというのが筆者の立場です。データの蓄積とその活用が一般社会の話題として取り上げられるようになって数年経っています。今回は、これまでにも当欄で何度か繰り返してきた点の中から、蓄積されたデータの共有と再利用化実現を目標とする人々に向けての重要ポイントを説明します。

    第1は、蓄積した/するデータが分かるようにすること。これは、データの名称、取込時期、意味内容、出典、使い方の基本形、責任部署(データオーナー)、利用可能期間といった点を明らかにするということです。これらの情報は「メタデータ」という呼び名で表されることが一般的です。それを可能にするのが、データの流れを整理し、効率性を考えてシステム的に管理可能とする技術です(単純に「ツール導入」という意味ではありません)。そして、これらのメタデータをデータ利用者が参照できるようにすることが大切です。そのための技術的環境は、整ってきているというというのが現時点の状況といえます。そしてそれらデータの構造・構成を整理し管理しやすくするのがデータモデリングという考え方です。

    第2は、不用になった、あるいは正味期限の切れたデータは思い切って捨て去ること(データ断捨離)。不整理なデータほどデータの管理という点で厄介なことはありません。管理上の手間を要するだけでなく、データの利用者が誤った利用をすることによりビジネス上での悪影響・誤った結果を引き起こす原因となり得るからです。こういった点を確実にするために、データのライフサイクル管理という見方が必要です。このデータの要・不要を確認できるようにするためにも「データオーナー」設定が必要ということになります。もし利用継続が必要と判断される場合、データ項目構成や利用規則が時間経過の中で変わる時点を明示する工夫が必要となります。

    第3は、いわゆる「マスタデータ」の正確性を確保することです。マスタデータは、2種類の役割に分けられるという見方があります。一つは1件1件のデータの使い方が重要視されるもの。これに該当するのが、顧客データ、取引先データ、商品データといった分類に当たるものです。これらはデータに含まれる項目の種類、利用方法、項目中内容の正確性維持が特に大切です。二つ目は、ビジネスシステム上でのデータの整理視点を定義し利用者へ提供するデータです。これには外部で標準化されたデータ(例えば郵便番号とそれに紐付く住所)も含まれます。この種類のデータは参照性を決めるという意味で、特に「リファレンスデータ」として呼ばれています。このリファレンスデータは利用者のデータ扱いの視点を決定付けるという役割があるため、特にデータ品質が重要視されます。この種のデータの内容決定に当たっては、コードそのもの(意味、値)への利用者との突き合わせが大切です。

    最後に必要とされるのは、これまでに書いてきたデータ取り扱いの仕組み作りと、維持管理を可能にする体制を準備することです。これは形式的に呼称を持つ人を作れば良いということではなく、実質的な役割を果たせる人材が必要とされます。そのための権限割り当てと人的資源を用意するという意味です。そのための意思と動機付けが大切でしょう。このコロナ騒ぎの中で人的流動性が高まる中、こういった人材を用意することは企業にとって、今後益々難しくなる可能性が高まることが危惧されます。
  • 今回は、データ共有と再利用化を図る上での基本的で重要な要素を振り返ってみました。
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  • その103:  データマネジメント・アンソロジー(Part2)の報告

    引き続き、前号で予告したデータマネジメント協会日本支部(Dama Japan)の第10分科会、月例ミーティング実施結果の報告です。今回の参加者数は、過去最高タイ記録に1名足らずの18名という状況でしたが、この種類のオンライン会議分科会としては、それなりの人気企画になったのではないでしょうか。Part1のレビュー(前回ディスカッションされた内容の更新)から始まり、追加の第5、第6話プラスアルファ版を実施しました。題目は 「データモデリング・アンソロジー Part2 データモデルの応用への道筋探訪」としました。今回の資料抜粋版を、Part1の抜粋版を游悠レポートのページに掲載していますので、興味に応じてそちらも参考にして下さい。

    前回にも触れましたが、Part2の話題概要は以下のような内容です。 第5話 「データモデリングの更なる適用範囲を考える」 ・論理データモデル発想の活用場面の視点 ・コミュニケーション、視覚化のためのモデル利用性 利用可能なデータの種類や分量が増大するにつれ、DX、IoT、AI等の新しい用語・技術分野が注目を集めています。これらのデータ利活用に向けて、データモデリングをどのような場面で活用可能か、着目する分野に目を向けた今後に向けた再確認の議論をしたものです。

    第6話 「先の分科会で出たメンバ疑問を深堀り議論する」 ・ 「発注」は独立エンティティ名の選択肢として妥当だろうか? この議論に先立ち、日本語と英語の違いの議論を追加することにしました。概念/論理データモデリングに当たって、しばしばエンティティの検討には名詞を切り出すのが着目点であると時々いわれるからです。欧米発のデータモデリングを取り入れる際に、「日本語と英語それぞれの持つ『言語感覚』に大きな相違点があるという点を再認識する」という筆者の趣旨です。これを「猫」と「Cat」単語発想の違いを例に、参加者に問い掛けました。

    多様なデータ種類、そしてセンサー等を含んだ発生源の拡大という環境の広がりの割には、そのデータに関わる人々には、データをしっかり見つめるという意識がそれほど高くはないのではないか、というのが筆者の視点です。 何となしにデータが粗製濫造され、それを入門したての技術者(それをデータサイエンティストと称して)が扱ってみているという例が少なくないのではと筆者は見ています(それを暴言といわれるようなら甘んじて受けることにしましょう(笑))。勿論言うまでもなく一部の例外はあるということも認識しています。そのような状態に、データモデリング発想とデータモデルという技術、表現力が役立つものと筆者が考える点を第5話で強調する所以です。

    データモデル図は、基本的に言語によるルール表現を図で表したモノというのがER図(エンティティ-リレーションシップ図)であるというのが欧米的発想です。従って日本語表現との発想の違いを合わせて見直したらどうかという視点で第6話を取り上げました。これを簡単なクイズ形式で参加者とのやり取りを行ってみました。この問答は、コメントから見るに、それなりに楽しむ時間となったようです(筆者憶測)。日本語単語と英語単語により、少なくとも使用者の使用感覚の違いを再認識する良い機会になったことは確かだと思います。これをデータモデリング視点で捉えると、基本的な独立エンティティ(リソースおよびイベント)にどのような語を据えたら良いかを考慮する一助になるものです。

    また、データモデリングにおけるオントロジー発想の取り入れに関しても議論の話題としました。海外のデータモデルで取り上げられる(例:パーティモデル)、所謂「クラス」や「ロール」のような見方は、工学的オントロジーと密接な関係があるということができます。更に他の話題として、グラフデータベースは、「インスタンス、属性指向」、ER図は「エンティティ、クラス指向」であることも参加者に理解されたものと考えます。

    上記の工学的オントロジーに関しては、今後別途のDamaJ第12分科会で話題の一つになってくる予定です。この第12分科会次回開催予定は、2021年3月4日(木)19時~20時30分です。興味ある会員は参加して下さい(ZOOMオンライン会議)。
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  • その102:  データマネジメント・アンソロジー(Part1)の報告と次回予定

    前号で予告したデータマネジメント協会日本支部(Dama Japan)の第10分科会、月例ミーティングの件の報告です。FBも利用した事前案内も幾分か効果があったためか、第10分科会としては過去最高タイの参加者がオンライン会議に訪れ、Q&Aを含めた2時間がアットいう間に過ぎる形になりました。提供話題に花が咲き、多くの議論が交わされアンソロジー第4話までを熟すのがやっとという状態になりました。好評を博した結果、第5、第6話プラスアルファ版を、引き続き2月26日(金)に実施予定となりました。題目は「データモデリング・アンソロジー:『マスタ=リソース』発想だけでは無理を産む?!・・・などなど 」を受け継ぎ 「データモデリング・アンソロジー Part2」となります。第1回の説明資料抜粋を游悠レポートのページに掲載するので、興味ある方はそちらも参考にして下さい。

    引き続きとなったPart2の話題概要を、以下に紹介しておきます。Jama Japan会員ならどなたでも参加申込できますが、分科会主催担当理事宛に事前参加申請が必要です。

    第5話 「データモデリングの更なる適用範囲を考える」 ・論理データモデル発想の活用場面の視点 ・コミュニケーション、視覚化のためのモデル利用性 利用可能なデータの種類や分量が増大するにつれ、DX、IoT、AI等の新しい用語・技術分野が注目を集めています。これらのデータ利活用に向けて、データモデリングの考え方がどのような役割を果たすべきかについて議論する予定です。着目する分野に目を向けた将来への議論といえます。

    第6話 「先の分科会で出たメンバ疑問を深堀り議論する」 ・某分科会メンバX氏からの疑問  -「発注」は独立エンティティ名として妥当でしょうか?? 告知時点で予定していたこの答えの検討を始める前に、日本語と英語の違いの議論を追加することにしました。それは論理データモデリングに当たって、しばしばエンティティの検討には名詞を切り出すのがポイントであると言われることがある点です。欧米発のデータモデリングを考えるに当たって、「日本語と英語という言語の持つ『言語感覚』には根本的な違いがあるという点を認識しておくことが重要なのではないか」と筆者が考えているからです。この点を、「猫」と「Cat」の違いを事例にして一緒に考えることにしました。これもきっと議論噴出の場となることは間違いないでしょう。

    データモデリングを検討する際には、前回の第4話、および今回取り上げる第6話が関係するオントロジー領域の話題が重要になってきます。 元となる哲学的発想までは行かなくとも、データモデリングで対象となるモノの概念、抽象化ということの意味を理解しておくことが、工学的なオントロジーの内容です。今回の第10分科会議論とは別になりますが、金融業界ビジネスオントロジー(FIBO)をベースにした内容を検討する第12分科会も本格的に立ち上がりました。そこではグラフデータベース利用の実践も考えています。
  • 次回分科会開催日時は、2021年2月26日(金)19時~21時の予定です。オンライン会議システムZOOMを利用します。Dama Japanの参加メンバであれば、誰でも幹事への事前申込を行うことで 参加できます。興味のある方はこちらを参照ください。 [データマネジメント協会日本支部ページ] この様子も本欄でレポートしたいと考えています。引き続きご期待ください。
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  • その101:  データマネジメント・アンソロジー(Part1)
  • 筆者が所属しているデータマネジメント協会日本支部(Dama Japan)の第10分科会、月例ミーティングの2021年最初の議論話題提供として、当方が以下の題目で1時間ほどオンライン形式でプレゼンを行います。その後1時間ほどの参加メンバディスカッションを実施する予定です。題目は「データモデリング・アンソロジー:『マスタ=リソース』発想だけでは無理を産む?!・・・などなど 」。 ここで「アンソロジー」という語を敢えて表題に付加したのは、筆者がこれまで課題事項として考えていた内容を、それぞれエッセンスを要約気味に整理した形で理解を促し、当日の参加者から様々な形での議論を引き出そうという考えからです。そこで話題にしようとしている項目を、本欄で手短に紹介しようというのが今号の趣旨です。

    第1話 「今からながらのデータモデリング必要性を議論する 」。 ・データモデリングの目的/必要性/意義 ・6つの大きな誤解とは・・・ データモデリング はDXが声高に叫ばれている中で その重要性に関わらず、 ややもすると専門家だけが語る小難しくて理屈先行のとりとめ無い分野と一般には捉えられているというのが現状です。一方専門家側にも 誤解が生まれていると筆者は考えています。 データモデリングが果たす役割を再確認し、誤解を認識した上で、今後どのように活用すべきかの議論を深めたいところです。

    第2話 「データモデリング・アプローチを議論する」 ・トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチの溝 ・レガシーに含まれる発想の罠 データモデリングを実施する方法としては、対象とするデータを題材に上流から攻めるトップダウン・アプローチと、下流から攻めるボトムアップ・アプローチがあります(最終的には強弱の差はあれ、これらをミックスして仕上げる形ですが)。これらのアプローチはビジネス指向およびIT指向とも関わりがありますが、それぞれの特性を踏まえた考慮が必要です。そういった考慮点を議論します。

    第3話 「マスタデータ=リソースデータ発想を見直す」 ・マスタデータの「狭義」と「広義」の区別を再認識する ・データ資産とは何だろう?? データモデリングの対象とする「データ」は、どのように分類され、どういった取り扱いが必要かを簡単に議論したいと考えています。共有するデータを検討する上で大切な考え方が話題です。

    第4話  「リレーショナルスキーマ以外の論理データモデリング」 ・オントロジー発想から ・グラフデータのための論理モデル表現に目を向ける 現在はそれまで主流とされてきたリレーショナル・データベース以外にもさまざまな形式のデータベース基盤が存在します。これらのデータベース基盤を利用して物理的なデータベースを作り上げる上で、リレーショナル設計の考えを元にした論理データモデルを行うことの重要性を例を交えて議論します。また、物事を見る上での概念化を図るオントロジーについても若干の検討を行います。

    第5話 「データモデリングの更なる適用範囲を考える」 ・論理データモデルの活用場面の視点 ・コミュニケーション、視覚化のためのモデル利用性 利用可能なデータの種類や分量が増大するにつれ、DX、IoT、AI等の新しい用語・技術分野が注目を集めています。これらのデータ利活用に向けて、データモデリングの考え方がどのような役割を果たすべきかについて考えることにします。将来に向けての議論といえそうです。

    第6話 「先の分科会で出たメンバ疑問を深堀り議論する」 ・某メンバX氏からの疑問   -「受注」は独立エンティティ名として妥当でしょうか?? ・さて、この答えは如何に?!?! これは分科会の議論に特化した内容ですが、先に実施した分科会議論の中で出た疑問について、筆者なりの考え方を披露し、意見交換を行います。メンバ間の激論必至が期待されます。

    この分科会開催日時は、2021年1月29日(金)19時~21時を予定しており、オンライン会議システムZOOMを利用して実施します。Dama Japanへの参加メンバであれば、誰でも幹事への事前申込を行うことで 参加できます。興味のある方はこちらを参照ください。 [データマネジメント協会日本支部ページ] 分科会終了後、当日の様子をレポートしたいと考えています。ご期待ください。
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  • その100:  データマネジメント的断捨離考

    筆者にとって2020年の最後の数週間は、それまでに溜まっていた様々な器物・紙類を整理・廃棄をする集中期間となりました。これを世間で使用されている簡約的な語で言えば「断捨離」と表現すると通じ易いようです。この断捨離という後をウィキペディアで参照すると、元はヨーガの実践者であった沖正弘先生(故人)の1976年著書で使用されているとのこと。その後、山下英子さんの著書が2009年にヒットし一般に知られる語となったと説明があります。因みにこの山下さんは、この「断捨離」という語を幾つかの区分を対象に商標登録を行っています(2003年に最初の出願。その後区分範囲を段階的に拡大、一部は現在も出願審査の対象となっている。詳しく知りたい方は特許庁Webサイトの商標検索で確認可能)。ここではそのような役務登録権利の話はさておき、その元の考え方として一般に理解される「意志的にモノ(等を)片付ける」という内容そのものを取り上げます。

    ビッグデータ、DX、AIという業界用語で理解されるデータ活用領域の話題として、実は大量のデータを貯め込むという点が強調されがちですが、実は反面の考え方として「データを捨て去る」ことも、データマネジメント視点からの重要性として指摘できるというのが今回の指摘ポイントです。データマネジメントとデータの断捨離(意志的なデータの整理/片付け)の関連はどこで特徴付けられるかといえば、「データライフサイクル」の視点です。DMBoKを参照する際には、主に第9章「文書とコンテンツ管理」で語られる内容といえます。データを取り扱うには、その発生から利用という面だけで無く「廃棄」に至る時間的スパンとして、可能な限り最初から計画すべきであるということです。限りなくデータを蓄積するという考え方は、当該データの利用品質に大きく影響を与えるという反面もあります。データの発生・蓄積・加工・流通、そして廃棄という一連の流れを把握・管理できてこその「データ」活用である、ということです。

    このライフサイクル発想に従ったデータ管理をするためには、標語として「CRUD」(Create:作成、Refer:参照、Update:更新、Delete:削除)の関係として表現することが基本的な考え方です。但し、実際にはデータの流通(複製/枝分かれ)という現象が頻繁に発生するため、単純に管理できるということにはなりません。この辺りが、目に見えるモノと、電子的に表現・蓄積される「データ」との決定的な違いになります。従って、データの流れとしての連結性(リネージ)として可能な限り見える形での管理方法を実現することが必要です。更に複雑さを拡大するのが意味の正確性を維持管理する必要があるということになります。これがメタデータ管理の大切さが声高に語られる要因でもあります。

    データを利用・加工・参照する関係者が増大するに連れ、ライフサイクル管理の複雑度は将にネズミ算で示されるいわば幾何級数的に拡大するため、対処は早い内に行うというのが要点となります。可能な限りデータの流れを簡略化する意志的努力が必要であるということです。これにより管理に必要とされるリソース(関係者・コスト)にも大きな影響が出ます。こういった視点で整理するという意味で、データアーキテクチャ発想も必要となります。

    既に存在するシステムから生まれるデータを取り扱うためには、データ棚卸しの実施と優先度視点からの交通整理、或いは思い切った意思決定を通じての廃棄決断ということが必要です。そういったことを中長期立場から継続的な活動として見ていくことのできるリーダーが企業において必要とされる理由となります。このようなリーダー抜きでは、最終的なデータの断捨離の成功に繋げることは困難であるといえます。しかもこの活動は一時的なものではなく企業の持続的なものとしなければなりません。このようなデータマネジメントを実現できない企業というのは、長期的に見れば、リソース(人・組織・金・時間)を大きく無駄な使い方をすることになり、関係者の業務への満足度を低下させることになるといって過言ではありません。

    新年早々の話題として大分思いきった題材となりましたが、年頭であるからこそ、今一度改めて活動を見直す視点と捉える方があれば、筆者の期待するところです。各位、2021年を是非とも良い年にいたしましょう。
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